ヨノランとセオニョ

f:id:nattsun5673:20181006205008j:plain子供の図書より【新羅の陽の光と月の光、ヨノランとセオニョ】

三国遺事といって、朝鮮,古代三国 (新羅高句麗百済) についての古記録を収集した書物で、 13世紀後半の僧一然 (普覚国師) の晩年の撰述です。これを子供向けに分かりやすくした図書を読みました。

あらすじはこんな感じ⇩


新羅の第8代王であるアダラ王の
年に東海の海辺に、ヨノラン(연오랑)とセオニョ(세오녀)という仲の良い夫婦が暮らしていた。

ある日、ヨノランが海にでてワカメを取っていると、
急に岩が現れて、ヨノランを乗せて日本にいってしまった。

そして、日本では、彼を王として迎えた。

一方で、セオニョは、夫が帰って来ないので、とても心配していた。海辺に出て探してみると、岩の上に夫がぬいで行った履物があった。 

その岩の上に登るとその岩はまた、セオニョを乗せて流れていった。そして、着いたところは日本だった。

日本ではまた、天が今度は王妃を送ってきたといい、セオニョを王妃として迎えた。

こうして、夫婦は、再び出会えた。

この二人が日本に行った後、新羅では、日と月が光を失って、真っ暗になってしまった。

日官(天気と星の動きを見て国の行うことを予め教える仕事の者)が王に申し上げるには、「日と月の気運を持った2人が、我が国から日本に行ってしまったため、 このような異常事態が起こるのです。」と言った。 

王が使者を日本に送り、二人が帰って来るように説得したが、ヨノランは言った。

「私がこの国に来たことは、天がしたとこなのに、どうして帰ることができましょうか?しかし、王妃が織った反物があるので、これで天に祭事を捧げれば大丈夫でしょう。」

こう言って、反物を差し出し、使者はこれを受け取って、新羅に帰った。新羅では、言われた通りに天に祭事を行うと、日と月が光を取り戻した。

その時の反物は、王室の倉庫に入れ、国宝とし、この倉庫はキビコ(貴妃庫)という。

また、天に祭事を捧げた場所はヨンイルヒョン(영일현)という。


以上です。
そして、本の終わりには新羅と日本の関係として以下のことが書かれていました。

[このお話は新羅第八代のアダラ王の時に、東の海辺に住んでいたヨノランとセオニョが日本に行き、王と王妃になったというお話です。一然は三国遺事で、この話をするが、「最近の日本の記録に新羅の人が王になったという話は無いので、ヨノランとセオニョが王と王妃になったということは周辺の小さな国のとこである」と説明しています。] 

また

[当時の日本は大きな国ではなく、いくつもの小さい国で出来ていた。中国の漢書地理史によると、当時の日本は100余りの小さな国があったとされています。一然の説明のように、ヨノランとセオニョはこの百余りの国の内の1つの国の王と王妃になったのかもしれません。
当時の新羅もまた大きな国ではありませんでした。今日の洛東川と慶尚道地域にある12の国の内の1つでした。新羅と日本の小さい国々は互いを行き来しました。これだけではなく、伽耶地域の国々や百済地域の54程の国々も日本に行き来していました。]

とも書かれていました。